王子イメージングメディア(以下、OIM)の強みは、技術力とグローバルネットワークを活かした技術ノウハウの共有、大規模投資を行うことができる企業力。プラントエンジニアの皆さんに、キャリアを振り返りながら、トークセッションしてもらいました。
海外への挑戦と現地で感じたこと
S.K海外研修制度を利用し、入社6年目の2006年8月にアメリカへ赴任しました。王子グループでは、6年目というと、タイミング的に次のキャリアへと変わることが多い時期です。当時、海外と関係のある事業に携わることが多く、その中で語学の必要性を感じていたため、海外研修に立候補しました。その後、2011年には、買収した会社の立ち上げメンバーとしてブラジルへ赴任しました。
K.S私は、若いうちに海外を経験したかったので、8年目の2019年にアメリカへ赴任しました。
S.K駐在だけでなく、出張でも色々な地域に行きます。そこで感じることは、日本と世界では考え方が大きく違うことですね。駐在する前は日本のやり方が効率的で生産性が高いと思っていましたが、実際に海外に行くと、その地域ごとに見習うところがたくさんあることに気づき、日本的なスタイルを押し付ける考えはなくなりました。今は、現地に学ぶという姿勢を意識付けてやっていますね。コロナ禍以降、Web会議が増えましたが、ツールをうまく利用してコミュニケーションを取ることを大事にしています。
K.Sアメリカでも実感しましたが、やはりコミュニケーションは大切ですね。
エンジニアとしてのやりがい
S.Kブラジルでのプロジェクトが一番印象に残っています。自分がチームの一員として、中長期計画を立て、業務に携わり、実際に立ち上げたことは非常に大きな経験になりましたね。金額の大きい大型投資に関われることは、非常にやりがいのあるところです。プラントエンジニアとして、自分が設計し、選定した機械を導入する、また立ち上げ・営業生産へつなげるという、一連の業務に携われたのは幸せでした。
K.S私は、感熱紙の品質設計の仕事を主にしています。直近では、欧米での材料規制強化を受け、国内でも少しずつ規制材料に関しての要望が上がっていきますので、それに対応する製品開発や品質設計を進めていき、乗り遅れないように新製品を出していかないといけません。
今までで一番難しかったのは、新製品(赤黒2色感熱紙)の立ち上げです。試作から実機、そしてお客さまの要望に合わせた更なる改善ラボ実験、試作・実機を重ね、何とか作り上げました。今から10年くらい前の話ですが、それが今はトラブルもなく市場に流通している。このように試作から関わった製品が市場で販売されているのを見ると、非常にやりがいを感じます。
H.T施設部の時に、担当していた大型機械が設備トラブルによって停まってしまったところを、自分ひとりで原因を突き止め、解決できたときは生産に貢献できたという実感がありましたね。
海外でも活躍できる人材の育成を
S.K私は、操業現場オペレーターやスタッフも経験し、エンジニアとして設備投資等に携わることが多かったですが、海外の事業運営や経営に関わることが増えています。今までは、生産効率を上げることや生産余力があるか等を見ていましたが、もう一つ上の経営的視点から見ていかないといけない状況になっています。グローバルな観点から、各地の生産体制が今本当に適正なのかなどの議論を行い、各国とコミュニケーションを取り、情報の共有を行う。こういった取り組みによって、世界各地の底上げが図られているということを肌で感じています。
K.S海外に行く人がちょっと少ないかなと思っています。OIMは国内1工場なので、海外にまた行くのかなとも思ったりしますね。
S.Kそうですね。ただ、最近は女性で海外に挑戦する人も出てきています。性差なく、将来海外へ行けるような人材が増えていくよう育成をしていく必要があると考えています。
H.TOIMは、王子グループの中でも各国の市場状況や競合他社の情報が集められやすいという強みがあると考えていますし、現在の業務は海外に大きく携わっているので、いずれは海外で活躍したいです。
学生時代に学んだことは活かせていますか?
S.K大学では化学工学を専攻し、流体力学等の研究をしていました。入社後に配属された抄紙や塗工プロセスでは、そういう流体を使った職場だったので学んだことが生かせていました。ただ、自分の研究テーマが会社の業務に生かせるということはあまりないのかもしれません。学生時代に大切にしてほしいことは、いろいろな人とコミュニケーションを取ること。会社に入って仕事を進める中で、どの部署の誰に聞いたらいいのか、どうしたら一番理解されるのか、あるいはお客さまやメーカーさんとの繋がりなど、人と人とのつながりですからね。
K.S私は農学部で紙の原料であるセルロース※1について学んでいました。直接仕事に活かされている実感は、あまりないですね。それ以上に思うのは、研究室での実験の進め方、例えば、仮説を立てて実証実験して結果を考察して、といった基本の部分です。そういった実験の進め方は仕事に役立っていると非常に感じます。 ※1:植物細胞の主成分で水に溶けない不溶性の食物繊維
H.T入社後は施設部施設動力課に配属されました。電気電子工学専攻、大学の研究内容が半導体でもわりとニッチな分野に入ることが多かったので、仕事に直接役立つことはほとんどなかったです。ごくまれに大学2〜3年生の教科書を引っ張ってきて、ちょっと復習したりはしました。
役立つのは、K.Sさんも言われたとおり、実験や分析のプロセスですね。分析をした結果、データの扱い方やサイクルプロセスというところをしっかり勉強していただければなと思います。
これからのキャリア
K.Sまた海外へ行ってみたいです。今度は、大型の投資案件に関われる事業所に行きたいですね。次回の赴任時は、自分が技術者のトップになる可能性も高いので、経営的な視点から見ることができるようキャリアを積みたいと思います。
H.T今年(2024年)の春に新しい職場の生産技術部へ配属になりました。技術者としてのアイデンティティや技術力をもっと高めていくような業務を増やしつつ、経営的な判断ができるように、業務に取り組みたいと考えています。